2020年7月23日 (木)

西沢杏子詩集『なんじゃらもんじゃら ともだち』

詩人、児童文学作家の西沢杏子さんが新しい詩集『なんじゃらもんじゃら ともだち』(てらいんく刊)を上梓されました📖
現代詩でも活躍されている著者の、今回は、初の小学生グレードの詩集とのこと。
楽しくて、想像力を刺激される詩が33編収録されています。
ちょこちょこ虫が登場するのも、こよなく虫を愛する著者ならではです🐜
あとがきも、「ミラクル・フルーツ」という詩になっていて、最後まで楽しむことができました。
この詩の「ミラクルが口いっぱいから/胸いっぱいにひろがる/魔法のことばを さがしつづける!」という言葉が力強く心に残ります。

中でも特に私が好きだった詩をひとつご紹介。

   海のにおい

世界を旅する 海
海のにおいは 世界のにおい
世界の なかで
わたしは およぐ

地球を旅する 海
海のにおいは 地球のにおい
地球の うえに
わたしは うかぶ

青空を旅する 海
海のにおいは 空のにおい
空の はてまで
わたしは もぐる

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2020年7月14日 (火)

ふるさとの川

   ふるさとの川

蛇口から流れ落ちる水に
手を浸している
太古の頃から
ずっと水は
巡り続けているから
この水の中の何滴かは
私のふるさとの川を
知っているかもしれない

だから 離れて暮らす今も
私は水に触れるたび
懐かしい川を
感じることができる
悠々と海へ流れ込む姿を
思い出すことができる

いつか
あの川のように
ゆったりとした心に
なれるだろうか
手のひらにすくった水を
飲みほして
私はふるさとの川と
ひとつになった

            詩集『森のたまご』より

~ ★ ~ ★ ~ ★ ~ ★ ~ ★ ~ ★ ~ ★ ~ ★ ~

ずい分前に、私の故郷、熊本県八代市を流れる川を想って書いた詩です。
今回、洪水で大きな被害をもたらした球磨川です。
今、テレビをつけると毎日のように、濁流になって橋を壊し、町へと流れ込む球磨川の姿が目に飛びこんで来ます。
子どもの頃から親しんで来た川が、今回、多くの命や家を奪ったことを考えると、胸が締め付けられる思いです。
被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。

被害の大きかった坂本町や人吉市には親しい友人もいて、数日間連絡が取れなかったのでとても心配しました。
幸い友人達は、本人も、ご家族共に無事でしたが、まだ不便で不安な生活をしているようです。
一日も早く天気が安定し、救助や復旧作業が進むことを願うばかりです。

日本三大急流と言われる球磨川ですが、私が育ったのは海へ流れ込む河口に近いあたりなので、ゆったりと流れる広々とした川のイメージでした。
ただ、子どもの頃には洪水も経験したこともあり(うちは床下浸水でした)、いざ氾濫した時の怖さも知っています。
それでも普段は悠々と穏やかに流れる川で、土手では弟や友達と土筆を採ったり、四つ葉のクローバー探しや昆虫採集もしました。
夏の花火大会や灯篭流しも楽しい思い出です。
私の名前の「木綿子」は、球磨川の古名「木綿葉川(ゆうばがわ)」からもらったものです。
「ああ、故郷へ帰って来た」と思える場所のひとつでもあります。

そんな川が、恐ろしい危険な川として全国に知れ渡るのには複雑な思いを抱いています。
自然の豊かさと危険は紙一重だということも思い知らされます。
でもまた同時に、流域の市町村が、球磨川の恵みと共に生きてきたことも事実。
今後も続くであろう異常気象のもとで、自然とどう折り合いをつけて共存していくのか、誰もが考えていかねばならない時代に入ったのだと実感します。
異常気象の一端と言われる地球温暖化対策は、もう待ったなしではないでしょうか。
個人ができることは小さいですが、私もできるところから、自分の生活を見直していきたいと思っています。

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普段の球磨川(八代市中心部近くで撮影)の姿です。



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2020年6月25日 (木)

赤い首輪

   赤い首輪

顔見知りの野良猫

きょう 道で会ったら
赤い首輪をはめていた

ぼさぼさだった毛並みも
つやが出たみたい
顔つきも
柔らかくなって

「おうちができたんだね」
声をかけたら
「ナーン」
返事した

赤い首輪の鈴も
チリリと鳴った

               「こっとんノート」より

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~ ✿ ~ ✿ ~ ✿ ~ ✿ ~ ✿ ~ ✿ ~ ✿ ~ ✿

子どもの頃、実家で飼っていたチビという雄猫が、半年間、いなくなっていたことがあります。
諦めた頃に戻って来た時、びっくりしたのは、顔つきがすっかり険しくなっていたことでした。
薄汚れているのはもちろん、なんとも言えない迫力ある顔をしていたことを覚えています。
外暮らしをしていた半年間の厳しい日々を想像させるものでした。
それが、家に戻って過ごすうちに、みるみる元の顔つきに戻っていきました。
チビにとって、我が家は安心して過ごせる大切な場所だったのですね。

上記の詩、「赤い首輪」は実家の猫、黒猫のくろぶーがモデルです。
くろぶーも元はふらりと現れた野良猫。
道行く人に愛嬌を振りまいて、ごはんをもらって生きて来たようです。
去勢手術はされていたので、どこかの飼い猫だったとも思われます。
その後大怪我をしたこともあり、完全部屋飼いになり、今では毛並みもつやつや、ふかふか。
元気に過ごしています。

野良猫の生活は過酷です。
飼い猫の平均寿命が15年と言われるなか、野良猫は3~5年とも。
今は子猫が産まれる時期でもあり、各地で子猫が保護されているようです。
一匹でも多く、良き飼い主と巡り合って、幸せな一生を過ごして欲しいと思っています🐱

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2020年6月17日 (水)

白根厚子詩集『母のすりばち』

「小さな詩集」お仲間の白根厚子さんが4月に新しい詩集『母のすりばち』を詩人会議出版より上梓されました📖
遅くなりましたが、ご紹介を。

家族や友人とのかけがえのない記憶。
自然、命への想い、そして戦争への強い怒り。
詩人の言葉の翼は鋭く、優しく、そして時には軽やかに時空を飛び越えて古代人のフルートの音色を聴いたりもします。
読みながら、様々な光景が、想いが私の中に立ち上がりました。
特に、幼年時の戦争体験で白根さんの心に深く刻まれた、「戦争は無くさねばならない」という、揺るぎない信念は真っすぐに伝わって来ました。
3年前に亡くされたご伴侶のことを書かれた詩も胸に迫ります。

収録された作品の中より一篇。
長崎在住者として、被爆地の写真(おそらく長崎の原爆資料館にも展示されている写真ではないかと?)についての詩を。

       眺めてごらん

眺めてごらん
一枚の写真を
原爆が落とされ何もかも燃えてしまった
少女が茫々と広がる焼け野原を眺めている
足もとには髑髏がころがっている
あれは 少女の母親
ここに家族がいて
この街で暮らしていた
だのに母も 弟もいない 姉もいない

少女は眺めている
ただ眺めている
なにもない地平を

失ったものたちは
埋めようもなく
しがみついてくる


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2019年12月17日 (火)

ねこ新聞

月刊で発行されている「ねこ新聞」という新聞があります🐱
”富国強猫”(猫がゆったりと眠りながら暮らせる国は心が富む国)の思いのもとに、猫に関する詩やエッセイ、絵などが満載の、猫好きさんは思わず手に取りたくなる小さな新聞です。
一昨年前くらいから購読しているのですが、この度、12月号に私の詩を2編と絵を掲載していただきました。
詩集『宇宙のすみっこ』に収録されている詩、「やさしい音」「猫との関係」です。
パステル画も一緒に掲載されています。

物を書いておられて猫好きな方は多いので、この新聞には著名な方もたくさん寄稿されています。
今、連載されている方にはエッセイストの青木奈緒さんや作家で目医者の寒川猫持さん等。
他にも、今号には高田敏子さんの猫の詩、関川夏央さんのエッセイ等、猫に関する文章や絵、写真が満載です。
猫がお好きな方には、特におすすめの新聞です👍
気になった方は、チェックされてみて下さいね~。
       ↓
http://www.nekoshinbun.com/

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我が家のゆず🐱
室内で傘を干していると、かならずやって来ます😊

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2019年5月 9日 (木)

詩を読む楽しさ、評する難しさ

昨年春から、1年間、日本児童文学者協会の機関誌「日本児童文学」で、投稿詩の選評を担当しました。
隔月の仕事でしたが、毎回、とても悩みながらの作業でした。

私自身も公募への投稿を励みに書き続けてきた人間なので、投稿者の気持ちがわかります。
出したあとの、期待と不安が入り混じる気持ち。
評が出れば出たで、良かったら舞い上がり、そうでなければ落ち込み…と、一喜一憂しながらずっと続けて来ました。
なので、こちらも真剣に向き合わねば、と毎回身の引き締まる思いでした。
毎回投稿される方々のお名前は、すっかり覚えてしまいました
様々な個性溢れる作品を読むことで、自分もたくさん学ばせていただきました。
詩を読む楽しさと、評する難しさを感じた、貴重で豊かな1年間でした。

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2019年3月30日 (土)

「山のきもち」

   山のきもち

山はいたくないのかな
からだに穴をあけられて
山はくすぐったくないのかな
おなかの中を列車が走って

トンネルにはいると
わたしはいつも考える
山はなにもいわないけれど
山のきもちが知りたくて
わたしはいつも耳をすます

                 「小さな詩集」9号より
~~~✿~~~✿~~~✿~~~✿~~✿~~~✿~~

先週のこと、近所の高速道路開通イベントで、特別に道路が歩けるというので参加して来ました。

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ほとんどがトンネルの中でしたが、普段は歩ける場所では無いので、なかなか面白かったです。
高速や橋などが開通した時に、よく歩けるイベントがありますが、参加したのは今回が初めて。
歩きながら、「私は今、山のおなかの中を歩いているんだなあ…」と、何か不思議な気持ちがしました。

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トンネルの奥を見た光景。

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トンネルの入り口をふり返っての一枚。
やはり自然の光が見えると、ホッとします。

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山の桜も咲いていました🌸

今週からは車が走っています。
山はどんな音を聞いているでしょうか。



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2018年10月 3日 (水)

アーサー・ビナード氏講演会

9月30日に、長崎市のとらねこ文庫さん主催の、アーサー・ビナード氏の講演を聴きに行って来ました。
アーサー氏は、米国出身。現在は広島市在住で、詩、絵本の創作、ラジオパーソナリティーなど様々な分野で活躍をされています。
多くの著作の中で、今回は主に原爆に関する二冊の絵本についてのお話をされました。

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『さがしています』は、広島で被爆して亡くなった少年少女が身に着けていた物の写真と共に、その物たちが持ち主を語る絵本。
『ドームがたり』は、原爆ドームが自分の体験を語ります。(写真の本です)
どちらも、実際に原爆が落とされた下にいて、体験を抱えた物たち。
アーサーさんは、その声なき物たちの声を感じ取り、言葉に紡がれました。

また、長崎ということもあってか、核の問題についても、熱くお話になりました。
私は平和案内人という原爆資料館などのガイドボランティアをしていることもあり、普通の方よりも原爆についての知識はあると思っていましたが、アーサーさんのお話の中には、いくつもハッとさせられることがありました。

広島は世界で最初の…。長崎を最後の被爆地に…。とは、よく聞くフレーズではありますが、実際は実験により多くの場所が被爆し、被爆者も出ているということ。
(世界では長崎原爆のあと、2000回以上の核実験が行われています)
戦争被爆地といえば、確かに広島、長崎のことかもしれませんが、では、劣化ウラン弾で攻撃された地域はどうなのでしょうか。
これからガイドするうえでも、考えさせらました。

過去、現在、未来へと、遠くまで見渡す視点の大切さを気づかせていただきました。

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ドームがたり (未来への記憶)
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さがしています (単行本絵本)
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2018年10月 1日 (月)

青いしっぽ

 青いしっぽ

とかげの青いしっぽは
子どものしるし
か弱くて 怖がりだけど
見たくって 行きたくて
知りたい思いが きらりと光る

わたしの中にもまだある
青いしっぽ
いくつになっても
知りたくて わかりたくて
わき立つ思いが 求めて走る
こころの中に 青いしっぽ



                   「小さな詩集」19号より

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「小さな詩集」19号が発行されました。

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今回は表紙、裏表紙の絵も描かせていただきました

原画は色がついています。

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猫は、かつていた「きなこ」がモデルです

これからも心の中の“青いしっぽを”大切にして、好奇心、探求心を原動力に、創作を続けていきたいと思っています。

今週末には、初めて「小さな詩集」同人全員が集まります。
でも、はやくも台風25号が発生していますね
どんなコースを取るか、はらはらして見守ることになりそうです。
どうか予定通りに行けますように。

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2018年8月 8日 (水)

『やさしい出会い』

前回ご紹介の杉本さんに続き、「小さな詩集」同人のみやもとおとめさんも、先月新しい詩集『やさしい出会い』(たんぽぽ出版)を上梓されました

みやもとさんの詩は、いつも人間愛に溢れていると感じます。
この詩集も、題名どおり、読む人をやさしい気持ちにさせる出会いがつまった一冊になっています。

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