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2020年6月17日 (水)

白根厚子詩集『母のすりばち』

「小さな詩集」お仲間の白根厚子さんが4月に新しい詩集『母のすりばち』を詩人会議出版より上梓されました📖
遅くなりましたが、ご紹介を。

家族や友人とのかけがえのない記憶。
自然、命への想い、そして戦争への強い怒り。
詩人の言葉の翼は鋭く、優しく、そして時には軽やかに時空を飛び越えて古代人のフルートの音色を聴いたりもします。
読みながら、様々な光景が、想いが私の中に立ち上がりました。
特に、幼年時の戦争体験で白根さんの心に深く刻まれた、「戦争は無くさねばならない」という、揺るぎない信念は真っすぐに伝わって来ました。
3年前に亡くされたご伴侶のことを書かれた詩も胸に迫ります。

収録された作品の中より一篇。
長崎在住者として、被爆地の写真(おそらく長崎の原爆資料館にも展示されている写真ではないかと?)についての詩を。

       眺めてごらん

眺めてごらん
一枚の写真を
原爆が落とされ何もかも燃えてしまった
少女が茫々と広がる焼け野原を眺めている
足もとには髑髏がころがっている
あれは 少女の母親
ここに家族がいて
この街で暮らしていた
だのに母も 弟もいない 姉もいない

少女は眺めている
ただ眺めている
なにもない地平を

失ったものたちは
埋めようもなく
しがみついてくる


Photo_20200616164101 







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