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2013年4月

2013年4月21日 (日)

『想像ラジオ』

東日本大震災からちょうど2年目の、今年3月11日に発行された、いとうせいこう著『想像ラジオ』は、著者16年ぶりの新作小説です。

「想像ラジオ」とは、文字通り、リスナーの想像力の中だけでオンエアされるラジオ放送で、パーソナリティは、DJアークという男性。
しかも彼は、杉の木のてっぺんにあお向けにひっかかった状態で、しゃべり続けているという設定です。
アークがリスナーのリクエストや便りにこたえて、軽快なおしゃべりとともに、懐かしいナンバーを次々と流していきます。(その曲もまた、リスナーの想像力で変更可)
アークが一体何者かはここでは書きませんが、一昨年の大震災と深く関係しているということが次第にわかってきて、改めて、あの頃感じた気持ちなどを思い出しながら読みました。

死者と生者は、想像力をもってのみつながることができる。
だから、私達は亡くなった人達のことを、思いを、声をこれからも想像し続けよう、忘れずに考え続けよう。(大震災の死者だけに限らず)
そんなメッセージを、私は感じました。
不思議な余韻が、あとからじわじわ湧いてくる物語です。

想像ラジオ 想像ラジオ
いとうせいこう

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2013年4月17日 (水)

山笑う

最近、俳句歳時記をよくめくっています。
季節ごとの季語を見ると、先人達の感性と言葉の豊かさに感動しますshine

山の四季の表現も、なるほどと感心するばかり。
今の時分ば、まさしく「山笑う」。
山のあちこちで、新緑がむくむくと、緑色の雲が湧くように輝いているのを見る度に、この言葉が頭に浮かびます。

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ちなみに、夏は「山滴る」、秋は「山装う」、冬は「山眠る」diamond
春の山には他に「山覚める」もあります。

今は、道を歩いていても、様々な花が咲いていて、気持ちを和ませてくれます。

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↑ 近所の公園で満開の桜。 紅華桜と思われます。

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↑ クリーム色のモクレンも見かけました。

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 ↑ 野生の藤の花も咲いています。

ままならないことも多い日々ですが、植物や生き物たちの活き活きとした姿に元気づけられています。

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2013年4月14日 (日)

『ヒロシマ・ナガサキ 二重被爆』

このところ、ブログの更新を怠っていましたので、もう先月の話になりますが…coldsweats01

「長崎の原爆文学を歩く」という“長崎さるく”に参加し、2010年に亡くなられた二重被爆者、山口彊(つとむ)さんの手記、「生かされている命 広島・長崎『二重被爆者』90歳からの証言」(講談社)にまつわる場所を巡ってきました。

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up 山口さんが二度目の被爆をした、三菱長崎造船所を見下ろせる場所へ向かうship

二重被爆者というのは、広島、長崎の両方で被爆をした人のことです。
山口さんに関しては、以前、イギリスのテレビ局BBCの司会者が、「世界一運が悪い男」という表現で紹介したということがニュースになりましたので、ご記憶の方もいらっしゃるかと思います。

山口さんは仕事で訪れていた広島市内で被爆。顔面や半身に火傷を負い、逃げ戻った長崎で再び被爆するという、壮絶な体験をされました。
『まるであれに追いかけられているみたいだな……』
再びの被爆後、命からがら逃げた岩山で、立ち上るきのこ雲を仰ぎ見て、つぶやかれた言葉です。
今回は、長崎で山口さんが被爆された三菱長崎造船所付近を、ガイドさんの説明を聞きながら歩きましたshoe
市内に住んでいても、行ったことのない場所ばかりでしたので、とても貴重な体験となりました。

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up 見辛いですが、山口さんの被爆者手帳の写真。広島、長崎両方で被爆されたことが記載されています。

本の各章のはじめには、山口さんが詠まれた短歌も収録されています。
なかから特に印象的なものをひとつ。
「大広島炎え轟きし朝明けて川流れ来る人間筏(いかだ)」

被爆体験だけでなく、前半には、戦中の息苦しい銃後社会のことも書かれています。
読むほどに、強い信念を持たれた、聡明な方だったのだなと、畏敬の念を抱きました。

現在は下記書名に改題され、文庫本としても入手できます。

ヒロシマ・ナガサキ 二重被爆 (朝日文庫) ヒロシマ・ナガサキ 二重被爆 (朝日文庫)
山口 彊

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