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2012年6月29日 (金)

「やさしい音」

 「やさしい音」

うちの中で
自分でないだれかが
たてる音が聞こえるのは
いいものだ

それが
ひそやかで
ひかえめで
やさしい音なら
なおさらに

たとえば猫が
カリコリごはんを食べる音
ひたひた廊下を走る音
ゴロゴロのどを鳴らす音

私のかたわらに
いつも寄りそう
いのちの気配

ああ
うちの中に
猫がいるのは
いいものだ

                 詩集『宇宙のすみっこ』より


詩集『宇宙のすみっこ』に収録した詩ですが、NPO法人「朗読文化研究所」が発行している通信誌『朗ら朗ら』(ほがらほがら)16号表紙でご紹介いただきました。

Dscn3867_3 

以前友人から、不安で寝付けなくなってしまった夜中、飼っているハムスターが回し車を回している音が聞こえてきて、真っ黒な底なし沼に引き込まれるような恐怖から「いのちの気配」が救ってくれました、というメールをもらったことがあります。
この詩では猫のことを書いていますが、うさぎがいた頃から、よく感じていた思いです。
時折、夜中に目が覚めて、突然、強い孤独感や不安が押し寄せてきて、まるで自分の目の前にブラックホールのような漆黒の穴が空いているような気持ちになったりします。
そんな時、うさぎがケージの中でたてるに、ずい分ホッとしたものです。
今は、猫達の音に、救われています。
その時、その瞬間を無心に生きている存在が、頭の中で膨らませ過ぎた負の思いの中から、私を今の時間に引き戻してくれるのでしょうか。
もっとも近頃は、新入りの参入により、やさしい音ならぬけたたましい音で安眠妨害をされることも少なくないですが…coldsweats01

その新入りcatメイも、このたび首輪デビューしました。

Photo

毎日、お転婆全開dash
我が家の台風の目ですtyphoon

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コメント

いいですね~。この詩、「宇宙のすみっこ」で拝読させていただいた時も好きな詩のひとつでした。
ともすれば孤独や不安に押しつぶされそうになったとき、だれかの立てる小さな音が「独りじゃないよ」と教えてくれる。
思い悩んでいたころ、ひと気のない公園で一人で過ごしていたとき、スズメたちが立てた羽音にそれを感じたことを思い出しました。当時は、その音に救われたものですhappy01
小さな者たちが起こした小さな作用をが世界を回している…循環というか…大きな輪(和?)を感じました。

投稿: 詩音 | 2012年7月 2日 (月) 12時18分

>詩音さん
スズメたちの羽音に救われたというお話、共感しましたdiamond
家の中からの音だけじゃなく、外の音も、いのちがたてる音って、優しいですね。
どんなに小さな生き物も、世界の輪の中で、何かしら、誰かに影響を与えているのだなあと思いますconfident

投稿: りとるこっとん | 2012年7月 2日 (月) 18時15分

音と言えば、大学生のころ、友達の実家に泊まって、蛙の鳴く声の中、心地よく寝た記憶がありますconfident
人生初、田んぼに囲まれた家に初めて泊まり、、蛙の合唱ですごく安らかな気持ちになり、絵にかいたような夏休みの夜を過ごせましたclover
今は車の通る音が1日中するところに住んでいるので、あの時の蛙の合唱がもう一度聴きたくなりましたjapanesetea

投稿: ロン | 2012年7月 3日 (火) 01時23分

>ロンさん
私の実家も、田んぼが隣にあるので、この時期は蛙の合唱に包まれて眠っていましたnotesleepy
アマガエルの声は、心地良いですよね。
ちょうどブログのタイトルバナーの写真を蛙にしたところでしたhappy01
先日遊びに行った湖の横の公園には、アマガエルがたくさんいて、嬉しくなりました!

投稿: りとるこっとん | 2012年7月 3日 (火) 09時38分

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