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2012年6月20日 (水)

『明日 一九四五年八月八日・長崎』井上光晴

少し前になりますが、「長崎の原爆文学を歩く」というテーマの“さるく”に参加して来ました。
そこで、井上光晴著の小説『明日』にゆかりの、爆心地周辺の場所をガイドさんの案内で見学して回りました。
この小説は映画になってもいますので、そちらでご存知の方も多いかもしれません。
実は私は映画は観たことがありますが、小説はまだ未読でした。
今回歩いたゆかりの地を思い浮かべながら、小説を読んでみました book

明日 一九四五年八月八日・長崎 (集英社文庫) 明日 一九四五年八月八日・長崎 (集英社文庫)
井上 光晴

集英社 1986-07-18


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長崎に住んで8年が経ち、ようやく(遅いsweat01)爆心地周辺の地理などもわかってきた今になって読んだのは、かえって良かったと思います。
登場人物達の仕事場や、家、訪ねて行く場所など、知っている場所も多かった為、とても身近に感じながら読むことができました。

この小説は、原爆が落とされる一日前の長崎の普通の人々の普通の暮らし(戦時下ではありますが)を、淡々と丁寧に描いあります。
きっと、描かれているように、前日に結婚した人達もいたことでしょう。
生まれた赤ん坊もいるはずです。
そして、現代の私たちは、当然、その次の日、八月九日に長崎で何が起こったかということを知っています。
それゆえに、彼らの悲劇が描かれていなくても、強く胸に迫って来ます。
描かないことで、描く…。
こういう伝え方もあるのだ、と教えられました。
静かな中に、反戦の思いがこもった作品です。

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コメント

小説・・・最近読んでいません・・・・。
原爆関係の本も・・・・・。
反省・・・・。book

投稿: ロン | 2012年6月22日 (金) 02時02分

>ロンさん
私も原爆関係のものは久々に読みましたsweat01book
専門的な本よりも、小説の方が読みやすいし、気持ちを寄り添わせることができるのので、まだ手に取りやすいかもしれません。

投稿: りとるこっとん | 2012年6月22日 (金) 10時05分

映画もよかったけれど、小説のほうがそれぞれの人物、生活が、より深く丁寧に描かれているので心に迫るものがありますね。
ポイントごとの朗読が、とてもよかったですねbook
『明日・・』は取材をもとに書かれた小説ですが、林京子さんの『祭りの場』は被爆体験を書いたものです。
被爆当日とその後、という意味でも『明日・・』とともに読むとよさそうですね。

ちなみに、私の母は林京子さんと同じ女学校の一学年下でした(被爆者です)
原爆関係のものは、あまり読みたがらないひとなのですが「読んでみようかな。」と言ってくれました。ちょっと感動です!

投稿: ひさちゃん | 2012年6月24日 (日) 00時56分

>ひさちゃんさん
たしかに映画などになると、時間内にまとめなくてはならないので、原作すべてというわけにはいかなくなりますね。
原作は、たくさんの人が出て来て、「これ、誰だっけ?」とたまにわからなくなる時もありましたsweat01
それにしても、作家の取材力には敬服です。
被爆者自身が描くのに比べて、そうでない者が原爆を描くには、手法の工夫が必要だと改めて感じます。

お母様はリアルタイムで体験されているので、また、小説を読まれたら私たちとは違う感想を持たれるかもしれませんね。
聞いてみたいです。

投稿: りとるこっとん | 2012年6月24日 (日) 12時41分

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