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2010年6月22日 (火)

「ユダヤ人を救った動物園」

「ユダヤ人を救った動物園」 ダイアン・アッカーマン著(亜紀書房)

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第二次世界大戦中、ワルシャワ動物園の園長夫妻だったヤンとアントニーナ(特にアントニーナ)が、ナチス占領下で、多くのユダヤ人(約300名)を次々と園内に匿い、逃亡の助けをしたという事実をつづった、ノンフィクションbook


ポーランドについて、私はほとんど無知でした。(アウシュヴィッツなどの強制収容所があり、多くの人が命を落としたという程度の知識)
当時、多くのポーランド人が、ナチスへの抵抗運動に密かに身を投じ、命がけでユダヤ人を助けたりしていたことを、今回初めて知りました。
想像を絶する、恐怖と死が支配する時代に、知恵と勇気を駆使し、人間としての誇りと良心を失うことなく生き抜こうとする人々の姿には、心を揺り動かされます。
また、動物達の悲劇にも、胸がしめつけられました。
人間も、動物も、ナチスの前では、気分次第で選別される命でした。

なぜ、人間が同じ人間に対して、ここまで残酷になれるのか?
戦争中に起こった無残な出来事を知る度に、私が最も恐ろしいと感じる部分です。
それは、自分が持つ弱さの中にも、何かのきっかけで、残酷さへと変わる要素があるかもしれない、という恐怖でもあります。
だからこそ、人間が極限状況の中で、どう変わり、どう変わらず、そして、何をして、何をしなかったかを、できる限り学んでいきたいと思っています。

命の危険にさらされながらも、希望と安心をみんなに与え、家族とゲスト(匿っているユダヤ人たちのことをそう呼んでいました)を守り抜いたアントニーナをはじめ、彼女の夫や友人達の、強く聡明な素晴らしさshine
人間の狂気が渦巻く時代に、こういう人達が、少なくともちゃんと存在していたという事実に、勇気づけられました。
読みながら、常に、「自分ならどうする?」という問を、突つけられる一冊です。

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コメント

ナチスドイツへの抵抗運動としては、フランスのレジスタンスやユーゴのパルチザンなどが有名ですが、ナチスの軍人や行政官たちがもっとも恐れたのはポーランドの抵抗運動だそうです。
でも、ポーランドが最初にナチスドイツから侵略されたとき、ナチスとの秘密協定によってソ連もポーランドへ侵攻し、国土の東半分を占領しました。
そのため、ポーランドの抵抗運動はナチスに対してだけでなく、ソ連に対するものでもありました。
ナチスドイツが戦争に破れ、ポーランド全土がソ連に「解放」されると、抵抗勢力は弾圧され、歴史からも抹殺されました。それで、他国の抵抗運動よりも資料が少ないようです。

投稿: Ryo Kato | 2010年6月22日 (火) 20時52分

>Ryo Katoさん
なるほど。
ポーランドの歴史というのは、侵略され続けた歴史でもありますね。
地理的な悲劇というのも、あるのでしょうか。
だからこそ、独立したい、抵抗したいという国民の思いの強さは、どこよりも強かったのかもしれませんね。
この本には、ワルシャワ蜂起後のドイツ軍の報復の激しさも書いてありますが、読んでいて胸苦しくなりました。

投稿: りとるこっとん | 2010年6月22日 (火) 21時36分

この本、旦那が興味を持って読みそうです。(もちろん私も読みますよぉ)
早速教えてあげたいと思います。
日本だけでなく、世界の国のことも勉強しなければならないなぁと改めて思いますpencil

投稿: のら | 2010年6月22日 (火) 23時40分

>のらさん
ぜひ、旦那さまと読んでみて下さいbook
きっと感じることがたくさんあると思いますconfident

投稿: りとるこっとん | 2010年6月23日 (水) 08時37分

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